読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆとりはお呼びでないですか?

肌が乾燥する季節です

女としてみられないサオリさんの話

 

この前、知り合いの紹介で看護師をしているサオリさん(仮名)という方と接する機会があり、お話をしていました。

 

噂通り(?)何を話してもネガティブな返答をするサオリさん。そんな彼女に便乗して、私は何を言われてもポジティブな言葉で返答を続けてみました。

 

サオリ「どうせ私なんて、可愛くもないし、仕事も地味だし…性格だってetc」

わたし「何言ってるの、サオリさんはとても可愛いし素敵だよ!」

サオリ「気を遣ってくれありがとう。でも実際にそんなこと誰も言ってくれないよ」

わたし 「サオリさんが気づいていないだけだよ。大丈夫、サオリさんのことみんな好きだよ!!」

 

はたから見れば、宗教の勧誘というか、如何わしいビジネスに勧誘しているというか、異様な光景だったと思います。

サオリさんと話していると、どっと疲れました。そうは言っても30分くらいしか話していなかったのですけれども。

 

サオリさんが自分を認めてほしい、もしくは褒めてほしくてネガティブな言葉を繰り返し言っていたのかはわかりませんが、卑屈になられてしまうと聞いているほうはリアクションに困ってしまいます。

 

とはいえ、そんなサオリさんの卑屈っぽさのなかに自分と重なる部分を見つけたりもして。ああ、胸が痛い…。

 

というわけで、サオリさんから学んだことを自戒を込めてここに書き残したいと思います。

 

◆どうせ自分なんかいなくても精神

サオリさんの発言のなかで目立っていたのは「私なんていなくても」「どうせ私なんて必要ないし」といった周りからみた自分の存在意義を問う発言でした。

彼女は仕事はもちろん、友達と遊ぶときやイベントに参加するときもそう思っているそうです。おそらくそのたびに周りに言っているのでしょう。

「どうせ私なんていなくてもみんな楽しいでしょ?」

「私がいなくたって盛り上がるだろうし…」

そしてその都度周りの人に肯定してもらっているのだと思います。

「そんなことないよ~」

「サオリさんがいないと楽しくないよ~」 

おそらく、自分のことを自分で肯定できないので、周りから肯定してもらってはじめて安心できるのでしょう。

「私なんていなくても」という言葉に対して「そうだよね」なんて返せる人はまずいません。誰だってそんな無神経な人だと思われたくないので「ソンナコトナイヨ」という言葉で誤魔化します。が、本音はきっとこうです。

 

「必要とされるために変わる努力をせずに、自分の存在だけで認めてもらいたいなんて甘い!」

 

きっとサオリさんは、「ありのままの自分=自信がなくて卑屈っぽい」をまるごと認めてもらいたいのでしょう。周りから自分への評価を変えたいと思っているだけで、自分から変わろうとはしていません。

「私、自信がなくて卑屈っぽくて。だから大丈夫だよって周りに言ってもらわないとダメな女の子 なの。それでもいいかな?」

そんなふうに周囲に重くのしかかるサオリさんのことを、心から「必要な存在なの!」と思う人は、きっと親とかごく親しい人間関係のなかだけです。

 

◆女としてみてくれない病

また、サオリさんは恋愛もうまくいっていないようでした。彼女曰く「男性から女としてみてもらえない」そうです。

 

私は、部屋着同然の恰好で都内に出てきて、髪の毛を適当にひとつに束ね、化粧っ気がなく、底の擦り切れた鞄を持ち、よく見ると服にシミのついているサオリさんをまじまじと見つめてしまいました。

 

べつに、サオリさんが超絶ナチュラル嗜好であるなら問題ありません。それでもいいと思います。ただ、そういったこだわりがあるのではなく、彼女に至っては単純に「手抜き」なのです。

 

でも私は「それじゃあ女として見てもらえないよ」なんてこと、言えませんでした。代わりに「サオリさんのよさをわかってくれる人が現れるかもしれないし、焦ることないよ」とチープな自己啓発本に載っているような言葉を伝えました。でも本音はこうです。

 

「性別が女として生まれたからって、女として見てもらえるわけじゃないし、女として見てもらえるように、まずは身だしなみを整える努力はしたほうがいいと思う…」

 

サオリさんは女性という性別で生まれたから、自分は女として見られて当然だと思っているようでした。そのとき私は、ふとある名言を思い出しました。

人は女に生まれるのではない。女になるのだ。byボーヴォワール

女になる努力をせず、「私、性別女なのに誰も女扱いしてくれない」は、ちょっと無理があると思います。

 

◆本当のことは誰も教えてくれない

結局、私はサオリさんに「大丈夫だよ」といった適当な言葉をかけることしかできませんでした。

もしサオリさんが私よりもずっと年下で、前向きで、向上心だとか努力したい気持ち、変わりたいという気持ちが伝わってきたのであれば、伝えられたかもしれません。

けれどサオリさんは、あまりにもネガティブでした。そして「大丈夫だよ」という言葉以外は彼女の心に届かないと思いました。

もし今のサオリさんに「努力したほうがいいかも」とか「せめてメイクはしよう」なんて言ったら「この人も私のことを認めてくれない!どうせ私は…」とふて腐れてしまうでしょう。

 

本当にサオリさんに愛情をもって接することができる身内レベルの人でないと、言えないと思います。自分で変わるしかないです。

 

そう考えてみて、2つのことを自戒しました。

  • 優しい言葉を欲して周りに迷惑をかけないようにしよう
  • 周りからのぬるい励ましの言葉におぼれないようにしよう 

誰にだって慰めてほしいと思うこと、励ましてほしいと思うことはあると思いますが、度が過ぎるとそれは迷惑をかける行為と同じです。

 

また、相手を叱ったり心から助言するのが面倒くさいからと「あなたはそのままで大丈夫」「あなたは全然悪くないよ」と無難な言葉をかけることもあるでしょう。

けれどそれは本質ではありません。

 

……とまあ、サオリさんについてかなり辛辣に書いてしまったように見えるのですが、実際はサオリさんに自分を重ね、サオリさんを通して自分の嫌な部分を見せつけられた感じです。

卑屈っぽいとこあるし、手抜きなことなんてもっとあるし……。

 

とりあえずは優しいささやきにおぼれて、「このままでいいのね」なんて現状に甘えないようにしようと心に思ったのでした。